- アメリカ駐在員の業務内容について詳しく知りたい
- アメリカ駐在員の仕事ってキツイの?
今回はアメリカ駐在員の業務内容についての記事です。
駐在員という言葉自体は知っていても、実際にどのような仕事をしているのかピンと来ない人は多いでしょう。
この記事では、私のアメリカ駐在経験を基にアメリカ駐在員が現地法人でこなす業務について解説します。
私はアメリカにあるオフィス勤務だったので、この記事ではオフィスでの業務に絞って書きます。すみません、海外工場勤務経験はないので。
- アメリカ駐在員はなんでも屋
- アメリカ現法のマネジメントが最重要業務
- アメリカ駐在員はみずから営業にも行く
- アメリカ駐在員は人事の業務もこなす
- アメリカ駐在員は総務業務もこなす
上記は私が勤めていた会社でのケースです。会社によって事情は異なるので予めご了承ください。
『そもそも駐在員って何よ?』という方は、海外駐在員について詳しく解説した記事を読んでみて下さい。
では最後までお付き合いください。
アメリカ駐在員の業務内容
アメリカ駐在員の業務内容は、勤める会社の状況や職種によって大きく異なります。
- 駐在員の人数
- 事務系又は技術系
- 工場勤務又は営業拠点勤務
例えば上記の通りです。
私の実体験を基に書いているので、ここではアメリカ販社に駐在するという前提で解説します。
この記事は
なんでも屋で業務マシマシです
業務マシマシ状態です。
勤め先のアメリカ駐在員は、一人でアレもコレもこなす何でも屋でなぜなら勤め先のアメリカ現法には、駐在員を1名しか配置していないので、現法のマネジメントから営業や総務まで業務を幅広くこなす必要があるからです。
- アメリカ現法のマネジメント
- 営業、マーケティング業務
- 採用、評価など人事の仕事
- 健康保険、企業保険など総務の仕事
駐在員の守備範囲は上記の通りで、もはや専門性も何もあったもんではなく、まさしく何でも屋ボッチ駐在員です。
海外にある出向先に、海外駐在員が自分一人だけの駐在員のことをボッチ駐在員と呼びます。
ボッチ駐在員について詳しく解説している記事もありますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
ボッチ海外駐在員のメリット・デメリット【ボッチ駐在員おすすめです】
私がいたアメリカ現法は、営業事務、営業、マーケティングで構成されていました。
駐在員が気合と根性でカバーするというド根性ストロングスタイルでした・・・。
合計10名以下の小さな組織だったので、足りない部分を次のパート以降で各業務内容をもう少し詳しく解説していきます。
アメリカ現法のマネジメントが駐在員の最重要業務
勤め先のアメリカ駐在員は、現地法人の責任者(つまり海外現法のシャチョウ)としてアメリカの拠点に出向します。
売上と利益を増やすのが現地法人責任者の最重要ミッションです。
アメリカ現地法人を成長軌道に乗せ、
本社へのレポーティング業務が多い
勤め先のアメリカ駐在員は、それなりに責任のある仕事を任されるので、本社へのレポーティング業務がかなり多くなります。
- 販売予算の予実報告
- 固定費予算の予実報告
- 月次PL/BSの報告
- 販売戦略立案
- 各プロジェクトの進捗報告
- 予実とは予算と実績のこと
- PLとは損益計算書のこと
- BSとは貸借対照表のこと
本社への報告業務は上記の通りで(他にもいっぱいありますが・・・)、月末月初はてんやわんやでもう大変です。
正直やっていて楽しい業務ではありませんが、数字を見て何が良いのか?悪いのか?を見るクセがつくので良い経験になったと思っています。
本社経営層のお相手をするのも海外駐在員の大事な仕事
勤め先のアメリカ駐在員、現法の責任者と言えば聞こえは良いものの、しょせんは販売子会社のトップ、立場は本社にいる人達よりも下です。
毎日のようにメールや電話で『アレやれコレやれ』とか『客先訪問件数が少ない!』といった感じでまくし立てられます。
・・・っといった感じで心の中で愚痴りながらエライサンの言うこと聞いていました。
- 海外販社の立場は本社より下
- アレやれコレやれと本社から色々降ってくる
- 訪問件数が少ないとまくし立てられる
『訪問件数が少ない!』と言うエライサンに米国の広さを説明した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
アメリカ駐在員あるある【海外に疎い本社に米国の広さを説明した件】
🛫またエライサンの・・・
・・・の対応も海外駐在員として働く上で重要なミッションの一つです。
っていうか、これが一番大事かもしれません・・・。
エライサンが出張でアメリカ現法に来られる際、アメリカ駐在員が諸々手配したりお世話をするのです。
これを出張者アテンドと言います。
- 空港 – 現法間の送迎
- 昼食と夕食の手配
- 打合せの準備
- 訪問客先のアポ取り
通常業務をこなしながら、エライサンの相手をするのは相当キツいのですが、本社にいたらエライサンと頻繁に会話することないので、良い機会と前向きに捉えていました。
海外駐在員による出張者アテンドについて解説した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
海外駐在員による出張者アテンドとは?【偉い人と仲良くなるチャンスです】
営業活動もアメリカ駐在員の大事な業務の一つ
勤め先のアメリカ駐在員は現法のシャチョウという扱いですが、一日中イスに座って指示を出している訳ではなく、自ら営業活動もこなします。
なぜシャチョウやりながら、営業もやらないといけないのか詳しく解説します。
人が少ないので現地営業スタッフだけでは業務が回らない
アメリカ現法には現地職員の営業担当がいるのですが、人数が少なくて現地スタッフだけではとてもじゃないけど業務が回りません。
なので時間がある時は、既存のお客さんや新規のお客さん相手に自ら営業活動していました。
特に規模の大きなプロジェクトは、本社も注目していてアレコレ聞かれる為、出来る限り現地スタッフに同行するんです。
現地スタッフと本社の間に入って通訳/翻訳するの面倒くさいですし。
- 現法で働くローカルスタッフの人数が少ない
- 足りないリソースをカバーする為に駐在員も営業に出る
- 本社報告の都度通訳するのが面倒くさいので、出来るだけローカルスタッフに同行してプロジェクトの概要を掴んでおく
本社と現地社員の間で直接コミュニケーションが取れれば、これほど楽なことはないのですが勤め先はそのレベルに達していませんので・・・。
国土が広いアメリカでの営業活動は肉体的にしんどい
アメリカでの営業活動は、肉体的にかなりキツイんです。
アメリカは国土が広いので出張時の移動は飛行機、西海岸と東海岸に3時間の時差があるからです。
なぜなら
- 出張時は飛行機移動
- 国内に時差があり夜眠れない
複数のお客さんが近い地域に固まっていれば良いのですが、そんなに都合が良い訳がなくお客さんはアチコチに散らばっています。
🛫5時間フライト ⇒ 3時間フライト ⇒ 3時間フライト ⇒ 5時間フライト
アメリカ国内出張のイメージは上記の通りで、複数のお客さんを回る場合飛行機を乗り継ぐことになります。
飛行機が飛ぶ2時間前に空港に到着していなければならないので、1箇所への移動だけで半日~1日仕事となります。
【米国内出張の例】
- 朝4時に起きて空港へ移動
- フライト2時間前に空港着
- フライト5時間
- 空港からレンタカーでホテルへ1時間30分
これが地味にしんどいです・・・。
またアメリカ西海海岸で生活している人が、アメリカ東海岸へ出張するのもかなりしんどいです。
なぜなら西海岸と東海岸には3時間の時差があり、ホテルに着いても夜眠れない、そして寝不足のまま朝を迎え仕事をすることになるからです。
アメリカ国内出張のしんどさについて詳しく解説した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
なぜアメリカの国内出張はしんどいのか?【元アメリカ駐在員が経験を基に解説します】
アメリカ駐在員は人事の業務もこなす
勤め先の場合、アメリカ現法における人事の業務もアメリカ駐在員が担当します。
中小企業の現法に人事部門なんか無い!
中小企業のアメリカ現法に人事部なんていうシャレた部門は無いです。
よその中小企業にはあるかもしれませんが、少なくとも勤め先のアメリカ現法には無いです。
つまりアメリカ駐在員が片手間で人事業務をこなすわけです。
- 就業規則の整備
- 従業員の勤怠管理と給与計算
- 従業員の雇用、評価、解雇
- ジョブディスクリプションの整備
勤め先の駐在員が担当する人事業務は上記の通りで、片手間ではとても回りません。
なので、外注をうまく活用して乗り切ります。
❶の就業規則は概ね日本の会社と同じような内容が英語で書かれています。
【就業規則の内容】
- 1日の就業時間
- 有給休暇の規定
- 試用期間
、定期的にアップデートする必要があります。
他にもいっぱいありますが、ザックリ上記の通りで法律がよく変わるアメリカの場合その道のプロである人事コンサルタントに任せるのが、最も無難でしょう。
アメリカの就業規則について詳しく解説した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
米国における就業規則を徹底解説【Employee Handbookの中身を見てみよう】
❷の従業員の勤怠管理と給与計算は、ITと外注を活用します。
タイムカードで勤怠管理なんてやってられないので、クラウドの勤怠管理サービスを使っていました。
また給与計算は、外注すれば殆ど丸投げできるので相当負担が減ります。
- 勤怠管理はITを活用する
- 給与計算業務は外注に丸投げする
グロスアップ計算とは「手取額」を決めて、その後税金・社会保険料等の控除を考慮して「総支給額」を算出することです。
❸従業員の雇用、評価、解雇・・・人事業務の中で一番大変なのがこれらです。
アメリカは訴訟社会、ヘタこくと従業員に訴えられることがあります。
ベストは人事のプロを雇うことですが、そこはお金に余裕のない中小企業、駐在員がなんとかするしかないのが実情です。
とはいえ人事の素人が扱うには、あまりに難しい業務なので、弁護士や人事コンサルと契約してアドバイスしてもらいましょう。
- 雇用、評価、解雇は訴訟リスクを伴う
- 訴訟リスクを下げる為に弁護士や人事コンサルと契約する
💰また雇用する際に本社とよく揉めるのが、ローカルスタッフの賃金です。
アメリカは物価が高い分、給与レンジも日本と比べてメッチャ高いです。
しかし日本にいるエライサンにアメリカの給与事情が肌感覚で分かる訳も無く、説得するのに苦労します。
こんなことを言う人が結構いるのですが、そもそも物価高い、家賃鬼高いアメリカと日本とを同じ感覚で比べるのが間違いです。
人事コンサルや人材紹介会社などが全米の給与を調査した資料を発行しているので、そういった資料を活用して本社を説得しましょう。
現地のローカルスタッフ雇用について解説した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
高い給料払ってでもアメリカ人に仕事を任せよう【元海外駐在員の経験談】
❹のジョブディスクリプションは、従業員の業務内容が詳細に書かれた書類です。
通常日本の会社にジョブディスクリプションはないので、初めて駐在する人には馴染みが無いかもしれません。
【ジョブディスクリプション】
- ジョブディスクリプションとは職務記述書のこと
- 従業員はジョブディスクリプションに沿って業務をこなす
- ジョブディスクリプションに書かれていないことは、一切やらなくても良いと解釈される
上記の通りジョブディスクリプションとは、仕事の内容が詳しく記載された書類です。
人事素人の駐在員には作成できません。
これはさすがに
ジョブディスクリプションこそ、お金を払ってでも人事業務を専門的に扱うコンサルタントに依頼しましょう。
ジョブディスクリプションについて詳しく解説した記事も書いていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
ジョブディスクリプションを整備しよう【在米日系企業人事部門必見】
アメリカ駐在員は総務の業務までこなす
規模の小さな勤め先の海外現法に人事部門同様、総務部門もありません。
片手間で総務の業務をこなしているんです。
アメリカ駐在員が
従業員向け医療保険の手配
🏥会社は福利厚生として、従業員に医療保険を提供しています。
医療保険は保険代理店を通して契約するのですが、代理店の選択や保険の種類を選ぶのも駐在員の仕事です。
【海外駐在員の総務業務】
- 保険代理店の選択する
- 医療保険の種類を選択する
従業員は働く会社を選ぶ際、給料だけでなく医療保険の手厚さにも着目します。
非常に重要な業務なんです。
医療保険の選択というのは、優秀な従業員を確保する上で
また医療保険においては、従業員の自己負担比率が会社によってマチマチで会社負担比率が高いほど良い会社と言えます。
- 会社負担100%
- 会社負担80%
- 会社負担70%
例えば上記の通りで良い人材を採用する為に、より良い保険を高い会社負担比率で従業員に提供できるかがキモとなります。
従って最近は医療保険100%会社負担という企業も珍しくないです。
在米日系企業の給与レンジは米系より見劣りするので、医療保険やリタイアメントプラン等を手厚くして勝負するのも手ですね。
企業保険の契約
企業保険の手配も駐在員がこなします。
- 事務所備品の損傷や窃盗
- クライアントからの訴訟
- 従業員による訴訟
- 労災保険
企業保険の内容はザックリ上記の通りで、会社の備品が盗まれたり不可抗力でダメージを受けた場合に保険でカバーしてもらいます。
訴訟になった場合にかかる費用(弁護士費用や賠償金)もカバーされます。
また従業員やクライアントと揉めて
企業保険は掛ける年間に支払う金額が大きいのですが、訴訟大国アメリカのリスクを考慮したら手厚い保険を選んだ方が良いです。
訴訟や不慮の事故による損害から会社を守る為に、あらゆるリスクがカバーされる保険を選択しなければなりません。
アメリカ駐在員の業務内容まとめ
この記事ではアメリカ駐在員の業務内容について解説しました。
- アメリカ駐在員はなんでも屋
- 経営から人事まで何でもこなす(当社比)
- アメリカ現法のマネジメントが最重要業務
- 本社へのレポーティング業務
- 本社経営層のお相手も仕事の一つ
- アメリカ駐在員はみずから営業にも行く
- 人手不足で現地スタッフだけでは回らない
- 国土が広いアメリカでの営業活動はしんどい
- アメリカ駐在員は人事の業務もこなす
- 中小企業の現法に人事部門なんかない
- 駐在員は勤怠管理、給与計算も守備範囲
- 駐在員は雇用、評価、解雇も自分でやる
- アメリカ駐在員は総務業務もこなす
- 従業員向け医療保険の手配をする
- 会社を守る企業保険を選択する
冒頭に書いた通り、駐在員は業界、職種、会社によって業務の内容や負担が異なります。
例えば一つのオフィスに駐在員が複数名いる会社があれば、オフィスに駐在員一名のボッチ駐在員体制の会社もあります。
勤め先のアメリカ駐在員が業務マシマシ状態になっているのは、ボッチ駐在員だからであり駐在員が複数名いる会社であれば業務『マシ』か『多目』で済んでいるでしょう。
ですが、一人だけなので気を遣わなくて良いというメリットもあります。 業務がマシマシのボッチ駐在員
駐在員が複数名いたら困った時に助け合えますが、付き合いやら気を遣う場面が増えますしね。
いずれのケースにも一長一短ありますが、僕は気を遣わなくて良いボッチ駐在員で良かったと思っています。
業務マシマシの何でも屋で大変ですけど、ある程度の決裁権が与えられる中小企業ボッチ駐在員も悪くないもんですよ。
この記事が読者さんのお役に立ったらメッチャうれしいです。
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