中規模の日系グローバル企業から内定が出た。この当時はまだ親子上場が普通にあった時代、私に内定を出してくれた会社も某大手企業の子会社だったが上場していた。
私は上場企業から内定をゲットした喜びを噛みしめていた。
そして今回の転職先は何と言っても日系グローバル企業だ。今度こそ海外事業に携わるチャンスがあるはず。『3年以内に海外へ』の期待は膨らむばかりだ。
しかし私は会社に所属する一従業員だ。自分の思い通りに事が進むわけないのである。
この記事は『外資系企業って海外赴任ないの?』の続編です。まだ読んでいない方は下のリンクから前編をお読みください。

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海外の仕事がしたいので外資系企業を辞めたい

『外資系企業ならなんらかの形で海外事業に携われるかも』『そして仕事で英語を使う機会も多くあるかも』と考え入社した外資系企業。
5年程働いたが英語を使うことがあったのは展示会における外国人対応くらい。
この会社で働き続けても海外で働くチャンスはないし、仕事で英語を使う機会もほとんどない。モチベーションはダダ下がりだ。
『よし、再度転職しよう』20代後半になっていた私はそう考えた。また、この時の転職は過去ほど苦労しないだろうと踏んでいた。
なぜなら社会人経験は5年以上あるし(レベル低っ)、フォワーダーと外資系企業における勤務経験で一応英語と海外業務にも触れたから(若干だが)。
外資系企業に勤務している間も英語の勉強は続け、英検準一級を取得した。そしてTOEICのスコアも870点まで上げた。
社会人経験 | ゼロ ⇒ 5年以上(2社経験) |
---|---|
実用英語検定 | 2級 ⇒ 準一級 |
TOEICスコア | 700点 ⇒ 870点 |
『今度こそ仕事で海外に関わり、英語を使って仕事がしたい』こんなことを胸にShineは複数の求人に応募してみた。
2社から内定ゲット

Fラン大卒でショボいキャリアのヤツに応募への反応なんてあるのだろうか?初めはわずかながら自信を持って応募書類を送ったものの、段々不安になってきた。
数日後2社から書類選考通過と一時面接の連絡がきた。一社は中規模の日系グローバル企業、もう一社は超大手外資系物流企業だ。
中規模日系グローバル企業 | 主要都市に海外拠点を構えるメーカー |
---|---|
超大手外資系物流企業 | 欧州が本社の超大手物流企業 |
この時在籍していた外資系企業においてはあまり海外と関わらなかったので、どちらかと言えば中小日系グローバル企業に魅力を感じていた。
『まあ今回受ける外資系企業は超大手だしさすがに英語使ったり、海外と打ち合わせすることがあるだろ』と自分に都合の良いように考え外資系企業の面接も受けることにした。
いずれの会社も一時面接を通過、二次が最終面接。どちらか引っ掛かればラッキーくらいに思っていたが、なんと両方の会社から内定が出た。
Fラン大卒のショボキャリアというコンプレックスがあったShine。20代という若さとTOEIC800点台後半がそれらを跳ね返してくれた。
中規模日系グローバル企業へ転職

さて、二社から内定をもらったがどうしたもんか。私の心は中規模の日系グローバル企業に傾きかけていたが、大手外資系物流企業の給料がメッチャ良い。
ただ外資系物流企業の業務内容は日本国内における法人営業だ。管理職にでもならない限り英語を使うことはないとのこと。
一方の日系グローバル企業、私の経歴とTOEICスコアを見て将来的に海外事業に携わることもあり得ると面接で言われた。
待遇面は外資系と比べてかなり劣るが『海外と携わる』『海外現法で活躍できる』海外というキーワードが私の胸にブッ刺さった。
日系グローバル企業 | 待遇は普通だが将来的に海外事業に携わることができる |
---|---|
超大手外資系物流企業 | 給料はかなり良いが要職に就かない限り英語は使わない |
私は日系グローバル企業に内定受諾の連絡を入れ、外資系企業に内定辞退を伝えた。
海外要員として会社に入ったのに・・・

中規模の日系グローバル企業に転職し、配属されたのは国内の営業所だ。まずは国内営業所で仕事を覚え、その後海外の仕事に関わってもらうとのことだった。
確かに製品を覚えたり、各部門や工場との人脈を構築するには国内営業所で働くのが良さそうだと納得した。
面接時、人事からは大体3年くらい国内営業所で修行してもらうと聞かされていた。ところが会社に入って3年が経過したが海外部門異動の話は一切なかった。
3年が経過した頃には製品知識が身に着き、仕事にも慣れてきてむしろ重要なお客さんを担当するようになっていた。
国内営業所に配属されて5年が経過。未だに海外部門から声がかからない。どうなっているんだ。営業所の居心地は悪くないが話が違うじゃないか・・・
私はこの会社に騙されてしまったのか?と疑心暗鬼になった。会社は私が海外志向というのを忘れてしまったのだろうか?
いや、そんな訳はない。私が入社した時の人事担当者は既に会社を辞めたが、会社のデータベースに私のTOEICスコアや経歴が登録されているはずだ。
このまま何も行動しなければ、私は国内営業所で埋もれてしまうかもしれない。会社の人事部門や上層部に私が海外志向であることをアピールしよう。
私は『オレがオレが』タイプの人間ではないので自己主張が苦手な方だ。私にとってアピールはハードルは高いが背に腹は代えられない。私は腹をくくった。
オマエ、絶対オレが海外志向って知っていただろ?
ヤマダ課長は、自分がこの課の長である限り私を手放す気はなさそうだった。私が売上の大きい客を担当していて業務にも慣れているからだ。
そりゃそうだ。私の交代要員として変なヤツが来て、お客さんからクレームが来たり売上が下がるくらいなら現状維持に走るだろうな。
しかし上司も定期的に変わるのが会社だ。数カ月後ヤマダ課長が部長に昇格し、私の上司が別の人に変わったのだ。これはチャンスかも。
根回しと直談判

ヤマダ課長の後任には堀課長が任命された。堀課長は人柄こそ良いものの、あまり仕事をしないことで有名だった。
私が所属していた営業所は自分で仕事を回せる課員ばかりだったので、管理者が手抜きマンでも大丈夫だろうということで彼がアサインされたようだ。
堀課長は単身赴任で私が所属していた営業所に来た。私は彼を味方につけるため、率先して彼と飲みにいくようにした。そして私が海外志向であることを刷り込んだ。
直属の上司だけでなく外堀も固めるように努めた。ヤマダ部長の上司である太田本部長が営業所に来た時には、私が海外志向であることをこれでもかというほどアピールした。
また人事部長や事業部長が来られた時も、私が海外要員として入社したこと、海外志向であることを伝えた。上司の堀課長も応援してくれ一緒にアピールしてくれた。
アピールを行ったのは酒の席。なぜなら私が当時働いていた会社は、酒の席で人事が決まると言われていたから。ただ後々考えたらこれは本当だったと思う。
堀課長が営業所に来て半年程度が経過した頃、本社から社長が視察の為営業所に来られるとの連絡があった。日中打合せを行い、夜には懇親会があるという。
社長は過去にアメリカ勤務経験があり英語も堪能な国際派。海外事業の人事には必ず社長の意向が反映されると聞いていた。
心の中で小さくガッツポーズする私。イヤちょっと待て、末端社員の私が社長にいきなり話しかける訳にはいかないよな。酒の席しかない。やったる。
社長が来られるということで取り巻きのエライサン3名も付き添いで営業所に来ていた。また同じエリアの小さな営業所2か所から営業所長が出張で来ていた。
日中行われた社長との打合せには管理職のみが参加。我々課員は通常運転だ。堀課長からは社長に見せるプレゼン資料が事前に課員と共有されていた。
おおっ、堀課長!仕事はあまりしないけど気が利くなっ。TOEICのスコアや私の経歴まで書いてくれている。これは嬉しい。頻繁に晩飯付き合った甲斐があった。
その夜に行われた懇親会、開始後1時間程度経つと参加者が代わる代わる席を入れ替えだした。色んな人と交流しよう動き回る、飲み会でよく見かける光景だ。
社長の隣が空いたのを見た堀課長、私に指示を出す。なんて良い上司なんだ、仕事はあまりしないけど・・・。私はそそくさと社長に近づき隣に座った。
私が最終面接を受けた時の面接官は専務だったので、社長と実際に会って話をするのはこの時が初めてだった。
最後の『オモシロイ』は良く分からなかったが、とにかく私の海外志向は伝わったようだ。堀課長、ありがとうございます。
海外事業部へ異動

懇親会における社長との会話から3ヵ月後、突然太田本部長から私の携帯に電話がかかってきた。
なんだなんだ?オレなんかやらかしたっけ?イヤ、特に問題になるようなことはやっていないはずだが・・・
マジか・・・社長の『オモシロイ』はこういうことだったのか?アピールして良かった。直談判して良かった。
数日後、前の上司であるヤマダ部長から電話がかかってきた。
やっぱりそう来たか。まあ自分で作ったチャンスを蹴っ飛ばす理由などないし、そもそもヤマダ部長に自分の人生を捧げる意味もない。
そして太田本部長から異動の内示を聞かされてから3ヵ月後、私の海外事業部への異動が決まり人事発令が出た。
ここまで長かった。やっと海外の仕事に携わることができる。仕事で英語を使うことができる。そして海外赴任への道が開けるかもしれない。
毎日海外現法や海外顧客と英語で打合せするんだろうな。年に何回も海外出張してお客さんと英語で打合せするんだろうな。期待は膨らむばかり。
しかし実際に異動し本社海外事業部で働き始めると、私が抱いていた期待はこれでもかというほどぶっ壊されるのである。
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